誰もいない。
地元に帰りたい。疲れたというより、この先がんばりたくない。
横浜くんと連絡がついて、電話もできた。
前とは偉く違って声が弾んでいた。
なにかあったのかと聞くと、
デートしてきたんだと言ってきた。
つい最近合コンで知り合った女性と、デートしてきて
今、その帰りなんだと言ってきた。
聞こえていたけど、冗談かと思ってもう一度聞いた。
冗談なんて言う人じゃないってわかっていたけど。
お酒を飲みながら食べながらお互いにしゃべって
相手は次の日仕事があるから早めに解散したんだと言ってきた。
慣れないことして緊張したよ〜だって。
「楽しかったんだね。よかったね」
「早く次のデートの予定決めないとね」
「いい報告待ってるよ」
ちっともそんなこと思ってないけど
感情を必死でこめて言った。
私には何も聞いてこなかった。近況とか仕事のこととか。
聞いて欲しかったけど、もう興味がなくなったんだなって。
彼はつけてたテレビに笑っていた。
私も同じチャンネルをつけて一緒に笑った。
デートの話も気になって仕方なかったけどなんだか余計に悲しくなりそうで
テレビを見るしかなかった。
電話をすぐ切られるかもしれないと思ったけど
30分くらい一緒にテレビを見た。
普段一人で見てたテレビも、一緒に突っ込んだり笑う人がいると
一層見てるのが楽しかった。
彼も私もテレビっ子でレコーダーのヘビーユーザー。
一人暮らしが長いと、テレビとの付き合いも濃くなる。
横浜くんと見たからこんなに笑えたのかな、とか思ったりする。
ツボが一緒というより、テレビをよく知っている人だからいいのかな。
彼はデートした人と上手くいってしまうのだろうか。
私はあなた以上に私を見せられる人を他に知らない。
今日はひたすら眠ろう。
ドロン